私が経験したストーカー事件
メイド喫茶で長く働いていると、有り難いことに自分をお気に入りメイドとして通ってくれるお客さんがついてくれるものです。
私がいたお店は気軽な感じのメイド喫茶だったので、長く通ってくれている常連さんとはもうお友達感覚でゲームやアニメの話をよくしていました。でも、中にはお気に入りメイドさんへの想いが行き過ぎてしまって、ちょっとした事件に発展してしまうことも…。
私がお店で働きだしてから7ヶ月くらい経った頃でした。
ほぼ毎日仕事帰りに通ってくれている、とある常連さん(仮名Mさん)と好きなゲームで話が合い、仲良くなりました。Mさんはお店で私と話をしていると、「毎日ゆきちゃん(私の名前(仮))と話すことを楽しみに仕事をしているようなものだよ」と言ってくれて、こんなに私のファンになってくれるなんて嬉しいなあと思ったものでした。
そしてそんな日々が続いて1ヶ月くらい経った頃、私が仕事を終え、電車で帰ろうとすると、よくお店の最寄の駅でMさんを見かけることが増えたのです。
最初は「お店からはもっと前に帰ったはずなんだけど…どこかで買い物してきたのかな?」くらいにしか思っていなかったのですが、そんな偶然が何度も何度も続き、それを先輩メイドさんに話したところ、「それってもしかして、ゆきちゃんのこと出待ちしてるんじゃない?」と言われました。
まさか…と思ったのですが、やはり私のあがる時間に駅でMさんを見かけることはほぼ出勤するたびにあり、疑惑は確信に変わってしまいました。
そうすると、今度はこっそり帰りについてきていたりするのかな…なんて思ったりもしましたが、さすがにそこまで疑うのはよくない、と自分に言い聞かせていました。
でも、なんだかよくない予感がしたので、それからはちょこちょこ路線を変えて帰ったり、近くに住む友人や親戚宅に帰ったりとしてみたこともありました。
そしてある日曜日
私は自宅を出てからバスに乗って最寄の駅へ向かうのですが、その日も出勤するのにバスに乗ったところ……、そのバスの一番後ろの席の隅っこに見覚えのある顔が。
なんと、Mさんが乗っていたのです。私は凍りつきました。
しかもMさんは話しかけてくることもなく、私も気付いていないと思っているのか、ずっとその席から、前のほうで立っている私を見ている感じでした。
「もう家を知られているかもしれない…」と思った瞬間、私は怖くなってしまいました。でもMさんはいい人だし、何度も誤解だと思うようにしましたが、一度疑惑を持ってしまったら、それをぬぐうことはできませんでした。
店長に事情を話した結果
それでもMさんは何もなかったかのようにお店には通ってくれていたので、私はどうしていいか分からず…、ついには店長に事情を話すことにしました。
すると、以前も、私が入る何年か前にもストーカーまがいの事件があったようで、その時のお客さんは出禁になってしまったのだとか。
何度も言うようですが、Mさんはとてもいい人だし、正直出禁にはしたくありませんでした。でも怖いという思いもあるし…と悩んでいることを打ち明け、店長は「なんとかする」と言ってくれました。
でも、結果的に、Mさんは出禁になってしまったようでした。私が話を打ち明けたあと、店長からMさんへやんわりと断りを入れてもらったようです。
そのやりとりの詳細は教えてもらえませんでしたが、お店でお話をしているときは本当にいいお客さんだったので、なんだか罪悪感のようなモヤモヤはしばらく抜けませんでした。
メイド喫茶で仕事をする前に、メイドがお客さんに付きまとわれるという事件があったとかないとか、そんなうわさを耳にしたことはありましたが、実際に自分がそれまがいのことを経験してみて、「本当にこんなことあるんだ…」とぞわっとした出来事でした。
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